人類で初めて月に降り立ったのは「小さな一歩」のアポロ11号、
アームストロング船長である。続いて、オルドリン飛行士が歩いた。
二人が月面で活動していたその時、ひとり司令船で
月の周回軌道にいた人物は、印象が薄い。
「忘れられた宇宙飛行士」「歴史上最も孤独な男」「第三の男」と
語られるマイケル・コリンズさんだ
月の裏側に入ると、地球が見えない。
生まれ育った星と人々、そして仲間から、通信も含め、
切り離された時空を経験している
再び見えてきた地球は「青と白の宝石」だったそうだ
〈そこには国境などはなく、人類のちがいや、大都市と農村の区別もなかった〉と述べている
〈一面とてもこわれやすそうに見えた〉とも。月面に足跡を残す栄誉にあずかった同僚らよりも、
神秘に触れ、思索に浸ることができた人だったかもしれない
コリンズさんが九十歳で亡くなった。地球帰還後、公職も務めているが、
メディアのインタビューなどにはあまり応じていなかったという。
「忘れられた」といわれる理由の一つであろう
世の政治指導者たちが同じように地球を見ることができればいいのに。
そうすれば「劇的に考えが変わるはずだ」とも語っている
母なる星を見た人はつい先日、「地球ほど美しく、こわれやすいものは多くない。
ともに守ろう」とネットで呼びかけたばかりでもあった
※引用元 中日春秋より