さまざまな鳥を表す漢字の中でも「燕」は少し特別だ、
多くは「鳥」や尾の短い鳥を意味する「隹」(フルトリ)が付くのに対し、
飛ぶ姿をかたどっているとされるのが「燕」という
中ほどの左右に伸びた部分が翼のようだ
下部の点が尾だと知れば「燕尾」が見えてくる
近所のクリーニング屋さんの軒先にあった古い巣から先日、
長いのと少し短いのと、きれいに伸びた燕尾がのぞいていた
いつの間にかつがいがいる、各地で夏日になったが、
毎年、初夏の訪れを告げるように、
列島の南から北へとツバメが戻る季節である
長谷川克著「ツバメのひみつ」によると、
成鳥になって1.6年ほどしか生きない
戻ってきたのが、昨年去っていったあの鳥とは限らないそうだ、
とはいえ、第4波といわれるコロナ禍で重い空気の土地に
“帰還”してくれたようで、いつもの年以上に、うれしく感じられる
東京などへの緊急事態宣言が近づき、
長い旅はさらに縁遠くなりそうな時である
東南アジアなどから、
長旅をしてきた鳥たちに何を見てきたのかと尋ねたくもなる
作物につく虫を食べ、そのかわりのように、
天敵が近づきにくい人家の軒先などをすみかにした
持ちつ持たれつのような関係を築いた特別な鳥であろう
つがいは古い巣を補修中らしい、間もなく始まる子育ての光景は
巣ごもりの人に限らず癒やしになりそうだ
※引用元 中日春秋より