昔むかしのカラスは漆黒ではなかった。
染物屋のフクロウに誤って染められて・・
各地で、形を変えて語り継がれてきた昔話のひとつ「フクロウの紺屋」である
似たような話が、奄美大島でも伝わるが、カラスの相手が違っている。
リュウキュウアカショウビンという
【奄美諸島の昔話」にある話によれば、奄美で繁殖するその鳥は、
カラスの赤と白の着物を奪った。
現在の美しい彩りを得ることになったいわれらしい
ほかにも、奄美や沖縄の昔話には、本土の昔話の動物が彩りの異なる
別の種に変わっている例がある
助けた動物が恩に報いる「報恩譚」には、「ハブの恩返し」というのもあるそうだ
独自性と豊かな多様性が、「昔むかし」の中にも、息づいている地域だろう
その独自性と多様性の自然が、ようやく世界自然遺産に登録される。
「奄美大島、徳之島、沖縄島北部および西表島」について、
国連教育科学文化機関(ユネスコ)の諮問機関が、登録を認める勧告をした
アマミノクロウサギ、ヤンバルクイナ、イリオモテヤマネコ・・
人とともに島に生きる動物の多くが希少だ。
観光客が増えるのかもしれないが、登録は独自の自然を守り、
後世に伝えるための合図であろう
「ほこらさやいつよりまさり」うれしさはいつに勝ろう。
奄美の島唄の一節は、地元の心境か。
この先に生かしてほしい喜びだ。
※引用元 中日春秋より